『日焼け(日光皮膚炎)』の原因・症状・治療法【症例画像】

日焼け(日光皮膚炎)とは

日光皮膚炎の症例画像


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  • 日焼けとは、太陽光線に含まれる紫外線を浴びることによって起きる、皮膚の色素沈着や炎症のことです。
  • 一口に日焼けといっても、過剰な紫外線を浴びることによって、皮膚がダメージを受けて炎症を起こして赤くなる「サンバーン」と、その後、メラニン色素が皮膚に沈着して、肌色が濃くなる「サンタン」の2つの種類があります。
  • 日焼けの程度は、ひとりひとりの肌質や、浴びた紫外線の種類や量によって個人差があります。ひどいサンバーンでは、紫外線を浴びたところがやけどをしたときのように水ぶくれができる場合もあり、医学用語では、日光皮膚炎と呼びます。

原因

  • 日焼けは太陽光に含まれる紫外線の影響によって起きます。
  • 地上に降り注ぐ紫外線には、波長の長い「UVA」と、波長の短い「UVB」の主に2種類の紫外線が含まれています。これらの紫外線は、ビタミンDの合成などにも役立つ一方で、過剰に浴びすぎると肌に有害な影響を及ぼします。
  • UVA…肌の奥深くまでダメージを与える紫外線。真皮層を傷つけて、しわやたるみを引き起こします。
  • UVB…主に表皮に強いダメージを与え、炎症を引き起こします。
    炎症反応は、メラニン色素を作るメラノサイトを活性化し、メラニンの生成を促します。これによって、照射後2、3日頃から皮膚への色素沈着を起こします。

私たちの皮膚は、紫外線に対する保護作用をもつメラニン色素を表皮内に蓄えることで、有害な紫外線から体表の細胞を守っています。しかし、メラニン色素による保護作用を超える紫外線を浴びた場合、皮膚に炎症が起きたり(サンバーン)、メラニン色素の沈着が起きたりします(サンタン)。

サンバーンとサンタンの違い

日焼けによって皮膚に起きる見た目の変化は、大きく分けて「サンバーン」と「サンタン」の2つの種類があります。
これらのうち、日光皮膚炎の原因になるのはサンバーンです。

  • サンバーン…皮膚が急激に赤くなる日焼け。強い紫外線を受けて皮膚が損傷され、炎症による赤み(紅斑:こうはん)やほてり、痛みを生じる日焼けです。紫外線の中でも、主にUVBによって起こりやすく、比較的短時間で変化が起きます。紫外線を浴びた数時間後から症状が出始め、8~24時間後にピークを迎えます。
  • サンタン…皮膚が徐々に黒くなる日焼け。サンバーン(赤い日焼け)による炎症の後、その刺激によって皮膚の中でメラニン色素が作られ、色素沈着を起こすタイプの日焼けです。主にUVAによって引き起こされます。サンタンによる色調の変化は、紫外線を浴びた数日後から徐々に現れ、その後数週間から数カ月続きますが、通常、肌のターンオーバーに伴って、徐々に元の肌色に戻っていきます。


(環境省 紫外線 環境保健マニュアル2020より)

症状

  • メラニンによる紫外線保護作用を超える量の紫外線を浴びた後、数時間後からサンバーンが現われ、さらに2~3日後にサンタンによる色素沈着が現われます。
  • 特にサンバーンは、強い紫外線によって皮膚が損傷されたことによる反応で、軽度~重度の日光皮膚炎を引き起こします。
  • 比較的軽度の場合…紫外線を浴びた箇所の皮膚の毛細血管が拡張し、赤くなってヒリヒリと痛みます。皮膚が熱っぽく感じることもあります。
  • 中程度の場合…患部を冷却した後もなお、皮膚の赤みや痛みが持続します。
  • 重度の場合…赤みや痛みが続く範囲が広く、水ぶくれができたり、頭痛、発熱、倦怠感、嘔吐などの症状が出ることもあります。→ 「日焼け 水ぶくれ」ページへ
  • 症状には個人差がありますが、紫外線を浴びてから 8~24時間後に症状が最も強く現れ、1週間ほどすると皮がむけることがあります。

日焼けによるリスク

  • 「日焼け」というと、健康的なイメージを抱きがちですが、過剰な紫外線を浴び続けると、私たちの健康に以下のような長期的なリスクをもたらします。
  • 光老化(光加齢)…繰り返し紫外線を浴びることによって、皮膚が厚くなる、シミ、しわができるなどの老化現象が現われます。
  • 皮膚がん…UVBは、皮膚の細胞のDNAを傷つけ、破壊することがわかっています。強い紫外線を浴びるたびに、DNAの破壊と修復が繰り返されるため、DNAの突然変異が起きやすくなり、将来がんへと進展するリスクを高めます。

「日光過敏症」の可能性も

光線過敏症の症例画像


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  • 日光皮膚炎と間違いやすい病気に「日光過敏症」があります。日光過敏症では、健康体の人にとっては肌トラブルが起きない程度の紫外線量であっても、浴びた部分に赤みやブツブツなどの皮膚症状が現れます。
  • 日光過敏症の原因は、遺伝的背景であったり、常用薬の影響であったり様々です。医師による診断と治療が必要ですので、皮膚科を受診しましょう。

治療・予防法

治療とアフターケア

  • サンタンによる皮膚への色素沈着は、紫外線から身を守るためのいわば生体防御反応なので、特に治療の必要はありません。色素沈着はしばらく持続しますが、紫外線を浴びない生活をしていれば、徐々に元の肌色に自然に戻っていきます。
  • 一方、サンバーンでは、皮膚に炎症が起きている状態なので、適切な治療が必要です。
  • 比較的軽度の場合…できるだけ早く患部を冷却し、炎症による症状を抑えましょう。濡れタオルや冷水で患部をよく冷やしましょう。
  • 中等度の場合…患部を冷却してもなお、患部の熱感、赤み、ヒリヒリ感が続く場合は、充分な強さのステロイド外用剤を塗って患部の炎症を抑えましょう。ただし症状が改善しないときや、逆に悪化してしまったときは使用を中止し、医療機関を受診してください。
  • 重度の場合…強い炎症のために患部に水ぶくれができた場合は、やけどと同じような症状と言えます。適切な治療が必要なので、皮膚科を受診しましょう。症状が広範囲に及んでいる場合や、頭痛、嘔吐、倦怠感などの全身症状がある場合は、ただちに受診が必要です。

日焼け予防

  • 日焼けを予防するには、皮膚が紫外線に曝されないようにすることです。気象庁が発信する紫外線情報をチェックし、特に紫外線量が多い時間帯(10時~14時頃)にはなるべく外出を控えましょう。
  • 外出時は、日傘や帽子、UVカット機能のある衣類などで肌の露出を少なくし、必ず日焼け止め(サンスクリーン剤)を塗りましょう。
  • 日焼け止めの効果を充分に発揮するためには、ムラができないように均一に塗ることが大切です。手のひらに日焼け止めを取ったら、手を大きく動かして、やさしく全体に伸ばしましょう。
  • レジャーなどで、虫よけスプレーと日焼け止めを併用するときは、先に日焼け止めを塗ってから、虫よけスプレーをするようにしましょう。虫よけスプレーの後に日焼け止めを塗ってしまうと、虫よけの成分の広がりが半減してしまうので注意してください。

紫外線で赤くなりやすい人は、要注意

  • 同じ量の紫外線を浴びても、皮膚が赤くなりやすい(サンバーンが起きやすい)人と、赤くならずに黒くなる人がいます。これは、スキンフォトタイプの違いによるものです。
  • スキンフォトタイプは、皮膚がもともと持っているメラニン色素の量に基づいて、紫外線への反応性の違いを6段階に分けて示したものです。
  • 皮膚のメラニン色素の量が少なく、肌の色が白い人ほど、紫外線への抵抗力が低く、サンバーンが顕著に現れる傾向があります。このようなスキンフォトタイプを持つ人は、日焼けの症状が強く出やすいので、特に注意しましょう。
  • 多くの日本人は紫外線を浴びると、サンバーンの後、サンタンを生じます。「赤くなることなく、黒くなる」と自覚している人でも、実際には軽いサンバーンが起きてからサンタンが起きるという経過をたどります。肌へのダメージを軽減するためにも、しっかりと日焼け対策を行いましょう。

日焼け止めの表記「SPF値、PA値」の見方

  • 日焼け止めのパッケージには、SPF値とPA値という2つの指標を示す数字と記号が印字されています(例:SPF 30 ++、SPF50 +++など)。これらの値は、それぞれ、UVB とUVAという2種類の紫外線に対する日焼け止め効果を表しています。
  • SPF…UVBを防ぐ効果を表す値。SPF表記とその隣の数字10~50で表され、値が高いほど、肌が赤く炎症を起こす反応(サンバーン)を防ぐ効果が高くなります。
  • PA…黒くなる日焼け(サンタン)や、しわ、シミの原因になるUVAから保護する効果を示しています。+、++、+++の3段階の記号で効果の高さが表しています(+:UVA防御効果がある、++:UVA防御効果がかなりある、+++:UVA防御効果が非常にある)。
  • 日常的なちょっとした外出には、SPF、PA共に低めのものを、野外での作業やレジャーなど、強い紫外線に長時間曝される環境ではSPF、PA共に高いものを選ぶと良いでしょう。
  • スキンフォトタイプに合わせて選ぶのもおすすめです。赤くなりやすい人は、「SPFが高め」の日焼け止めでUVBをブロックし、サンバーンを防ぎましょう。逆に、ほとんど赤くならずに黒くなりやすい人は、「PA値が高め」の日焼け止めでUVAをブロックし、サンタンを防ぎましょう。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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