『掌蹠膿疱症』の原因・症状・治療法【症例画像】

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掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは

  • 掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に、透明な水ぶくれ(水疱:すいほう)や膿の入った(膿疱:のうほう)がくり返しできる病気です。
  • 膿疱の中に病原体は入っていないため、ほかの人にうつることはありません。
  • 爪が変形したり、骨や関節が痛くなったりすることもあります。

掌蹠膿疱症の原因

  • 掌蹠膿疱症の詳しい原因についてはまだ解明されていません。
  • 掌蹠膿疱症の患者のほとんどに喫煙歴があることや、禁煙によって症状が軽くなることから、喫煙が関与していると考えられています。
  • 歯の詰めものによる金属アレルギーが関係していると指摘されています。
  • 喫煙、金属アレルギーのほか、扁桃炎などの病巣感染(びょうそうかんせん)が発症や悪化の要因としても考えられています。

掌蹠膿疱症の症状

掌蹠膿疱症では、主に皮膚に症状が出ますが、その他に爪や骨・関節の症状を併発することがあります。部位ごとの症状を詳しく解説します。

皮膚症状

  • 両手のひら、両足の裏に水疱や膿疱ができて、治っても、同じ症状を繰り返します。
  • 水疱や膿疱ができはじめる時にかゆみを伴うこともあります。
  • 水疱や膿疱は、手のひら・足の裏以外にも、すね・ひざなどにできる場合もあります。
  • 膿疱周囲は炎症のため赤くなり、膿疱自体はやがて乾いて茶色っぽいかさぶたになって剥がれ落ちます。
  • 炎症のために表皮が厚くなってカサカサし、鱗のような皮膚片が剥がれ落ちたり(鱗屑:りんせつ)、ひび割れを生じたりします。

爪の症状

  • 掌蹠膿疱症が爪に波及すると、爪が厚くなって変形したり、剥がれたりといった症状が出ます。爪の下に膿疱ができることもあります。

骨の症状(掌蹠膿疱症性骨関節炎:しょうせきのうほうしょうせいこつかんせつえん)

  • 掌蹠膿疱症によくある合併症です。主に胸骨や鎖骨、胸骨とつながっている肋骨周辺に炎症が起きて激しい痛みが生じます。
  • 背骨や腰の骨、手足の骨にも炎症が起きて痛みが出ることがあります。
  • これらの骨の症状は、皮膚症状に先行して現れることもあります。

掌蹠膿疱症と似ている疾患

掌蹠膿疱症の症状と似ていても、原因や治療法が異なる別の疾患がいくつかあります。掌蹠膿疱症と似ている代表的な疾患について解説します。

汗疱(かんぽう)

手のひらにかゆみを伴う1~2mm大のポツポツが生じ、その後に皮がむける皮膚病疾患です。数か月以内に自然治癒しますが、一年に数回再発することが多いです。

異汗性湿疹(いかんせいしっしん)

汗疱の患部に刺激が加わり、湿疹になった疾患のことです。

白癬(はくせん)

白癬菌というカビが皮膚で繁殖して起こる感染症で、いわゆる“水虫”の一種です。かゆみは少なく、患部全体が白く硬くなり、角質層が剥がれた時にできる垢(あか)やフケのようなもの(鱗屑:りんせつ)が出ることがあります。白癬菌を殺菌する飲み薬を使って治療する必要があります。

接触皮膚炎(せっしょくひふえん)

よくみられる皮膚疾患です。いわゆる「かぶれ」のことです。皮膚に何らかの物質が触れ、それが刺激・アレルギー反応となって炎症を起こし、強いかゆみ、ヒリヒリ感を伴う赤みや水ぶくれ、はれ、ブツブツなどの皮膚炎が出ます。

掌蹠膿疱症の治療法

  • 掌蹠膿疱症は自分で治療することはできないため、掌蹠膿疱症のような症状が出ている場合は医療機関を受診してください。
  • 現在のところ明確な治療ガイドラインがないため、個々の症状に合わせた対症療法が中心となります。
  • まずは、直接的な要因があれば、それを避けるようにします。病巣感染や歯の詰めものなどによる金属アレルギーの関与が疑われる場合は、それを除去しますが、それで全ての方が良くなるわけではありません。
  • 薬物療法では、ステロイド外用剤による外用治療や、PUVA療法(※)などを併用して治療します。

※PUVA(プーバ)療法とは、薬を服用した後、もしくは薬を塗った後に、紫外線を当てる光線療法のことです。

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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