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教えて薬剤師さん

冬の手荒れ・乾燥肌にどう対応する?

冬になると気になる手荒れ・乾燥肌。「冬だから仕方がない…」と放置していませんか? これらの症状はそのままにしておくと強いかゆみを生じ、かゆいからと掻いてしまうことで湿疹や、ひどい場合は化膿などの肌トラブルを引き起こしてしまいます。
乾燥する冬の季節をすこやかな肌で過ごすために、適切な対策法を知って早めに実践することが重要です。

冬に肌の乾燥がひどくなるのはなぜ?
肌は、からだの表面をおおいながら外部と接している組織です。そのため常に外部からの刺激にさらされていますが、これらの刺激から肌を保護するバリア機能( 「夏の乾燥肌にどう対応する?」を参照)のはたらきによって肌の健康は保たれ、うるおいを維持しています。ところが冬の季節はとくに、このバリア機能を低下させるさまざまな要因があふれています。そのため肌の健康が損なわれ、手荒れや乾燥肌を引き起こしやすくなるのです。
 
冬は、1年を通してもっとも空気が乾燥する季節です。最近のデータでは、2008年の梅雨の時季には平均湿度が72%あったのに対し、2009年1月ではわずか48%しかありません(地点:東京)。それぐらい、冬は肌と接する空気が乾燥しているのです。さらにオフィスや家庭内で使用する暖房の風にさらされて、肌はいっそう過酷な環境に置かれることに。また、冬は気温が下がって汗をかく機会が減るため、汗と皮脂が混ざりあって出来る天然の保湿クリームである「皮脂膜」が作られにくくなります。

気温が下がって寒いからと、台所での水仕事や洗顔にもついお湯を使いがちだったり、冷えた体を温めるために熱いお風呂にじっくりつかる人も多いでしょう。実は、こうした冬の何気ない日常生活の行動が、肌のうるおいを保つ皮脂膜を奪い、肌表面にある角質層にダメージを与えてバリア機能を低下させてしまうのです。
肌の乾燥を放置するとどうなるの?
肌が乾燥すると、初期の段階では全体的にカサカサし、見た目には白い粉をふいたような状態になります。このような状態を「乾皮症」(いわゆる乾燥肌のこと)と呼びますが、「冬だから仕方がない」と、とくにケアを行わない人も多いかもしれません。

しかし、「乾皮症」になると肌表面にある角質層が乾燥によってはがれ、バリア機能が低下することで洗剤やアレルゲンなどがダイレクトに侵入してくるため、痒みが生じやすくなります。すると「かゆいから掻く→バリア機能が低下する→ちょっとした刺激にも敏感になり、さらに炎症が起きてかゆみが強くなる」という悪循環を招き、しだいに掻いたところが悪化してブツブツが出来てしまうのです。
このように、単なる「乾皮症」から始まったものが、掻くことで炎症がひどくなり、ブツブツとした湿疹を生じた状態を「皮脂欠乏性湿疹」といいます。

「皮脂欠乏性湿疹」は、皮脂腺が発達していない小児や、逆に加齢にともない皮脂腺が退化していく中高齢の年代でよくみられるようです。湿疹はひざから足首にかけて、また腕に多くあらわれますが、主婦や調理師、美容師・理容師など毎日水仕事をする方では、手にその症状が強くあらわれる場合もあります( 「主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?」を参照)。

また、これらの症状にともない、「貨幣状湿疹」を引き起こすことがあります。
これはカサカサした肌に硬貨のような円形の赤みをおびた湿疹ができるもので、ジュクジュクと化膿した状態をともなうケースも多くみられます。
冬の手荒れ・乾燥肌の対処法
冬の手荒れ・乾燥肌への対応としてはまず、初期の「乾皮症」(いわゆる乾燥肌のこと)の段階でうるおいを補うために保湿剤を使用します。保湿剤とは、皮膚に水分を与え乾燥を防止してくれる保湿性の高い成分のことで、へパリン類似物質、尿素、グリセリン、ワセリンなどの含まれた製品が薬局でも購入できます。製品には保湿成分が表示されていますので、薬局で相談しながら自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

「乾皮症」が悪化し、「皮脂欠乏性湿疹」になってしまうと、保湿剤だけでは湿疹は改善しません。湿疹ができた肌はバリア機能がかなり低下しているため、敏感にかゆみを感じてしまいます。かゆいから掻くことでより症状がひどくなってしまいます。こうなってしまったら、強い抗炎症作用のあるステロイド外用剤を使用すると良いでしょう。

「貨幣状湿疹」を引き起こして患部がジュクジュクと化膿してしまった場合には、細菌の繁殖を防ぐためにも、抗生物質を含んだステロイド外用剤でないと治りません( 「皮膚の炎症で「抗生物質」は使うべき?」を参照)。

症状が手にあらわれる主婦湿疹(手湿疹)の場合は、症状に応じて保湿剤やステロイド外用剤を塗るほか、水仕事が原因となるだけに生活改善も一緒に行うことでより効果が高まるでしょう( 「主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?」を参照)。

そして、いずれの症状でも、かゆみがひどい場合には抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などの飲み薬を服用することがあります。
 
冬の手荒れ・乾燥肌は「乾燥しているだけだから」と放置すると悪化し、慢性化してしまう恐れもあります。肌の炎症に効果的なステロイド外用剤も保湿剤と同様に、薬局やドラッグストアで購入できます。
湿疹があらわれた段階でステロイド外用剤を使用するなど早めの対処を心がけることで、短期間での治癒が可能となります。
手荒れ・乾燥の予防、症状改善法
冬の手荒れ・乾燥肌を予防するために、また起きてしまった症状を少しでも改善するために、日常生活では次のような点を心がけましょう。

  1. 1. エアコンを使用するときは、加湿器を設置する。
  2. 2. 熱いお風呂に長時間つかるのは避ける。入浴剤は保湿性が高く、肌に刺激の無いものを選ぶ。
  3. 3. 濡れた体はしっかりタオルで水分をふきとり(体の水分も一緒に蒸発してしまう)、すぐに保湿剤を塗る。
  4. 4. 水仕事などの前後に保湿クリームを塗る。
  5. 5. 刺激の強いものやアルコールは控える。ほうれん草やたけのこ、里いもなどのアクの強いもの、トマト、チョコレートなどはかゆみを引き起こすヒスタミンという物質を含んでいたり、体内に放出させたりするので食べ過ぎないようにする。
  6. 6. 衣類は肌をしめつきすぎないものを着用し、化繊など肌を刺激する素材は避ける。
  7. 7. 外出時には手袋やマフラーなどで肌の露出を防ぎ、乾燥した空気と触れるのを避ける。

冬の手荒れ・乾燥肌は乾燥による外的刺激が大きな要因となります。日常生活においてもなるべく乾燥を防ぎ、保湿につとめることで外的刺激から肌を守り、かゆみを悪化させない対策をとることが重要となります。肌を露出する暖かいシーズンが到来するとき、健康で美しい肌を維持出来ているとうれしいですね。

ひび・あかぎれの基礎知識と対処