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主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?
文章:飯島 考子(All About「湿疹・皮膚炎」旧ガイド)

毎日水仕事をする主婦の方や調理師、美容師・理容師などにみられる強い手荒れを「主婦湿疹(手湿疹)」といいます。乾燥する時期は誰でも手が荒れやすく、暖かい時期がくればよくなると思われがちですが、なかなか主婦湿疹が治らず、通年で悩まされる人も少なくないようです。今回は主婦湿疹の原因、治療そして予防についてお伝えします。

どうして主婦湿疹は手にできるの?
主婦湿疹は、手以外には症状がみられないことから、手湿疹とも呼ばれます。

なぜ、手にだけ生じるのでしょう。通常、人の皮膚には毛包(もうほう)と汗腺(かんせん)があり、毛包には皮脂腺がついていて、皮脂が分泌されます。皮脂は、皮膚表面を刺激や乾燥から守る脂です。皮脂と表皮細胞にある脂質、汗腺から分泌される汗が混ざり、天然の保湿クリームのような役割を果たしています。

しかし、水仕事(洗剤やせっけん、水やお湯)や、その他にも紙を頻繁に扱う仕事を行っていると、皮脂や角質が落ちてしまうのです。そのことによって、皮膚を保護する機能が弱まり、物をつかむなど物理的な刺激に皮膚が過剰に反応するようになるだけでなく、刺激物が侵入しやすくなります。こうして起こるのが「主婦湿疹」です。主婦湿疹は、一次刺激性接触皮膚炎(詳しくは、「湿疹・皮膚炎・かぶれはなぜ起こる?」参照)のひとつです。アレルギー体質の方は特に生じやすく、主婦湿疹の原因となる仕事を中止できない方は治りづらいといわれています。

主婦湿疹は大きく「乾燥型」「湿潤型」の2つのタイプに分けられます。乾燥型は皮膚がカサカサし、ひどくなるとひび割れが生じます。指紋が消える、皮膚が硬くなるなどの症状もみられます。個人差はありますが、利き手の親指、人さし指、中指などよく使う指先から症状がはじまり、次第に手のひら全体に広がっていくこともあります。

一方、湿潤型は小さな発疹や水ぶくれができるのが特徴です。指の腹や手のひらから発症することが多く、手の甲にも症状がみられます。
主婦湿疹が生じやすい生活とは
主婦湿疹は、20~30代の主婦の方から相談をよく受けます。この年代は皮脂の分泌量は多いのですが、水仕事をする機会や時間が多いためと考えられます。
主婦湿疹が生じやすい生活とは、次のようなものです。

(1)炊事や洗濯など洗剤やせっけんを使う家事の量と時間が多い
(2)脱脂力の強い洗剤を使っている
(3)揚げ物など脂っこい料理を多くするため食器洗いに時間がかかる
(4)水仕事の後、ハンドクリームなどで保湿しない
(5)多量のシャンプーで頻繁に髪を洗う(髪の長い人など)

同じように水仕事や家事をしているようでも、その内容や体質などの違いによって、主婦湿疹の症状がでる人とでない人がいます。
主婦湿疹の改善法~薬物療法~
主婦湿疹(手湿疹)の改善は、薬物療法生活改善が治療の柱です。

主婦湿疹は、乾燥型か湿潤型かで、治療法が異なります。乾燥型は保湿剤による治療がベースとなります。保湿剤は、薬局・薬店で扱っていますが、刺激物が入っていない方がよいという方はワセリンを、保湿にすぐれているものがよいという方には尿素やヘパリン類似物質などを症状にあわせて、お使いになるとよいでしょう。それぞれに特徴があり皮膚の状態によって使い分けるとよいので、ぜひ専門家に相談しましょう。また、保湿成分の入った化粧品や入浴剤をあわせて使うと効果的です。

湿潤型や、特に症状が強い部位には、市販のステロイド外用剤を使用するとよいでしょう。乾燥型と湿潤型が混在していることもありますので、その場合には、保湿剤を塗った上に、炎症症状がある部分のみステロイド外用剤を使うようにするとよいでしょう。保湿剤は一日に何度使ってもよいので、水仕事をする度に繰り返し塗り、乾燥から手を守りましょう。ステロイド外用剤は、1日2回、朝と入浴後に塗ります。用法をきちんと守ればステロイド外用剤は安全に使える薬です。

主婦湿疹の炎症は、適切な薬を使用すれば1週間程度で改善されます。
主婦湿疹の改善法~生活改善~
薬物療法とともに、次のような生活改善も一緒に行って回復を助けましょう。

(1)水仕事はゴム手袋をして行い、ゴムの刺激から皮膚を守るためにその下に木綿の手袋をする
(2)水仕事で使うお湯の温度をぬるめ(体温よりやや低い温度)にする
(3)食器を洗う前に、ボロ布などで汚れを拭き取る
(4)食器は、少量の洗剤を入れたお湯に30分程度つけ、脂汚れを浮かしてから洗う
(5)料理は大皿に盛り、洗う食器を減らす
(6)お皿の汚れが落ちにくい脂っこい料理は、炎症が治まるまで避ける
(7)半調理された製品などを上手に利用する
(8)洗濯物を干したり、布団の上げ下げしたり、掃除機をかけるときなど、水仕事以外の家事でも、木綿の手袋をする
(9)シャンプー、ボディーソープ、石けん、ハンドソープなども低刺激性のものを選ぶ
(10)水仕事のあとや、手を洗ったあと、入浴後は、時間をおかずになるべく早くハンドクリームを塗る
(11)肌寒い日や乾燥している日は手袋をして外出する
(12)夜寝るときに保湿剤をたっぷり塗り、木綿の手袋をする

通気性がよく、皮膚を保護してくれる木綿の手袋を、さまざまな場面で活用できます。木綿の手袋をすると、皮膚をくるむことにより保湿剤の浸透がよくなります。寝ているうちに無意識にかいて、炎症を悪化させるのも予防できます。こうした生活改善は、主婦湿疹の予防にも有効です。

毎日きっちり家事を行う人に多いのが主婦湿疹です。皮膚の負担を軽くするために、食器洗浄機などの機器を利用したり、症状が強いときは上手に手を抜いたり、家族に手伝ってもらうことも大事です。
薬物療法と生活改善によって主婦湿疹が治っても、根本原因である刺激や乾燥を減らさなければ再発します。手の皮膚を保護する生活を習慣にし、炎症が起こり始めたら早めに治療を行って、上手に主婦湿疹と付き合っていきましょう。

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