赤ちゃん・子どもの、突然の「あせも」も安心!夏のお出かけマストアイテムとは?

赤ちゃん・子どもの、突然の「あせも」も安心!夏のお出かけマストアイテムとは?

夏休みやお盆は、家族で一緒にお出かけするチャンス!
でも赤ちゃんや小さい子どもと一緒に遠出をするのは、不安でいっぱいですよね。

普段と違う、慣れていない環境の中では、思わぬ体のトラブルがつきもの。
「いつもより長くチャイルドシートに乗せていたら、背中やおしりにあせもができてビックリ!」
などといった「あせも」トラブルは、特によく耳にします。

もしものためにベビーパウダーやベビーローション、かゆみ止めクリームを持っているから大丈夫だと思っている方も多いでしょう。

今回は、赤ちゃんや子どもの「あせも」の悪化や痕残りを防ぐために、夏のお出かけに持っておくと便利な薬と、その正しい使い方をご紹介します。

赤ちゃん・子どもの「皮ふトラブル」は突然起こる

赤ちゃん・子どもの「皮ふトラブル」は突然起こる

そもそも、なぜ子どもは皮ふトラブルを起こしやすいのでしょうか。

それは皮ふの「バリア機能」が低いことにあります。
皮ふのバリア機能を支えるのは、主に角質層と皮脂膜。しかし、赤ちゃんや子どもは角質細胞が未発達な上、角質層を覆う皮脂が少ないのでバリア機能がとても低いのです。

そのため、汗や唾液、鼻汁、食べこぼし、気温の変化、衣服による擦れといったちょっとした刺激にも敏感になり、皮ふトラブルを起こしてしまいます。

赤ちゃん・子どもの「あせも」の悪化や痕残りを防ぐためのポイント

ちゃん・子どもの「あせも」の悪化や痕残りを防ぐためのポイント

気づいたら、すぐに対処してあげて!

子どもは皮ふトラブルを起こすと、かゆみを我慢できず、ついかいてしまいます。

すると余計に患部が悪化し、さらにかゆくなるという悪循環に陥ります。(これを「炎症の悪化サイクル」と言います)

かかないように気を付けていても、寝ている間などに無意識にかきこわしてしまうと、傷痕が残ったり、化膿してとびひ(伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん))の原因になることもあります。

かゆそうにしている部分がないか、こまめに見てあげることも大切ですね。

かゆみよりも、炎症を元から抑える薬を!

あせもにもいくつか種類がありますが、よく見られる小さな赤いブツブツができてかゆみが伴う症状は「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と呼ばれるあせもです。

汗疹(あせも)症例画像


症例画像を鮮明にする

※ボタンを押下することで症例画像が切り替わります。

赤いブツブツができているということは炎症が起きているということなので、ドラッグストアなどでも購入できる、抗炎症作用のあるステロイド軟膏で対処するのが一番です。

「赤ちゃんや子どもにステロイド軟膏って強すぎなのでは?」「あせもにステロイド軟膏なんて大げさじゃない?」と感じるかもしれませんが、普通のベビーパウダーやベビーローション、かゆみ止めクリームでは炎症を抑えられず、時間がたつと、またかゆくなってしまうことも。

短期間でしっかりと炎症を抑えれば、かゆみもやわらぎ、「炎症の悪化サイクル」を断ち切ることができます。

はじめての「ステロイド軟膏」 5つのポイント
はじめての「ステロイド軟膏」 5つのポイント

(1)赤ちゃんや子ども向けのステロイド軟膏を選ぶ

「効き目が強い」という印象が強いステロイド軟膏ですが、「赤ちゃん用」「こども用」のものもきちんとあります。
ドラッグストアで購入できるステロイド軟膏には、以下のように成分の強さのランクがあります。

  • ウィーク…対象年齢:赤ちゃん(2才未満)
  • マイルド…対象年齢:子ども(幼児〜小学生)
  • ストロング…対象年齢:大人(中学生以上)・高齢者(65歳以上)

もともと皮ふが薄く、バリア機能が未熟な赤ちゃんや子どもは、大人と比べて成分がお肌によく浸透します。
ですから、大人よりもランクを落とした薬を使用しても、効果が発揮できるというわけです。

(2)少なすぎると効果が薄れるので、適量を使う

「効き目が強い」という印象から、少なめに使う方もいますが、適量を使わないと充分な効き目を得られず逆効果になることも。

「大人の手のひら2枚くらいの広さに対して、約0.5g(口径5mmのチューブの場合、大人の人差し指の第一関節の長さくらい)」を目安に、患部の広さと比較して使用量を決めましょう。
※製品によって口径は様々です。5gチューブなど口径が小さい場合は多めに出すなど調整してください

なお患部が広範囲の場合は、使用する前にお医者さんに相談するようにしましょう。

(3)塗りはじめは1日2~3回

1日に2~3回、症状の状態を見ながら塗りましょう。
主なタイミングは、朝夕の2回と夜は入浴後がおすすめです。症状が良くなってきたら、回数を減らしていきます。

予防薬としては使わないよう注意してください。

(4)顔、首、陰部など皮ふの薄い部位は、使用期間に注意

ステロイド軟膏の皮ふへの浸透率は、塗る部位によって大きく異なります。
同じステロイド軟膏であっても、手のひらや足と比較して、顔・首・陰部など効果が出やすくなります。

部位によって薬を使い分ける必要は特にありませんが、皮ふの薄い部位ほど短期の使用を心がけましょう。

(5)1週間たっても効果がなければ、病院へ

ステロイド軟膏を適切に使用すれば、通常5~6日以内に症状は改善します。
それでも改善しない、あるいは悪化する場合は、他の原因や疾患の程度がセルフメディケーションの範囲を超えていることが考えられるので、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。

大人と比べて、とってもデリケートな子どもの皮ふ。
ステロイド軟膏は、「あせも」だけでなく、虫刺されやかぶれなどにも幅広く役立ちます。
せっかくの家族旅行やお出かけが、皮ふトラブルで台なしにならないためにも、ステロイド軟膏を1本バッグに入れて、正しい使い方を覚えておきましょう。

 

監修

帝京大学医学部皮膚科 名誉教授

渡辺晋一先生

1952年生まれ、山梨県出身。アトピー性皮膚炎治療・皮膚真菌症研究のスペシャリスト。その他湿疹・皮膚炎群や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍などにも詳しい。東京大学医学部卒業後、同大皮膚科医局長などを務め、85年より米国ハーバード大マサチューセッツ総合病院皮膚科へ留学。98年、帝京大学医学部皮膚科主任教授。2017年、帝京大学名誉教授。帝京大学医真菌研究センター特任教授。2019年、『学会では教えてくれない アトピー性皮膚炎の正しい治療法(日本医事新報社)』、2022年『間違いだらけのアトピー性皮膚炎診療(文光社)』を執筆。

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