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そのカサカサ、脂漏性皮膚炎かも?

そのカサカサ、脂漏性皮膚炎かも?

最近フケが目立つ…そんな症状に悩まされていませんか?

頭のフケは多くの人が体験する皮膚のトラブルのひとつ。ですが頭皮だけでなく、同時に顔や体にも湿疹・皮膚炎などの皮膚トラブルを生じている場合、もしかしたら脂漏性皮膚炎かもしれません。

今回は、単なるフケと間違えやすい脂漏性皮膚炎の症状や原因について解説するとともに、適切な治療・スキンケアの方法をお伝えします。

カビが原因?脂漏性皮膚炎の正体とは

私たちの皮膚には、肉眼では見えない菌がたくさん住みついているのをご存知ですか?

これを「常在菌」と言います。菌というと「汚い」などのイメージがあるかもしれませんが、通常、皮膚に悪さをすることはありません。

バランスのとれた状態で存在していれば、むしろ病原菌の侵入を防ぐなど皮膚の健康を保つ役目を果たしています。

皮膚を腸に置きかえて考えてみましょう。腸内にはたくさんの菌が住みついており、そのバランスによって腸内環境が左右されています。菌のバランスが良ければ腸の健康は保たれますが、善玉菌が減少し、悪玉菌が増えると、私たちの体に悪い影響を及ぼすようになります。これと同じことが皮膚にも言えるのです。

皮膚の常在菌も、通常の状態であれば皮膚トラブルを引き起こすことはありません。ところが睡眠不足やストレス、食生活やホルモンバランスの乱れなどにより皮脂が過剰に分泌されると、異常に増殖することがあるのです。

増殖した菌は、皮脂中のトリグリセリド(中性脂肪の一種で皮脂の主成分)を分解し、その過程で遊離脂肪酸を産生します。そのため、菌が増殖すると遊離脂肪酸も過剰に産生され、それが皮膚に刺激を与えて皮膚トラブルを起こしてしまうのです。これが、「脂漏性皮膚炎」の正体です。

皮膚に住みついている常在菌にはさまざまな種類のものがあります。アクネ菌やブドウ球菌といった常在菌は、ご存知の方も多いでしょう。なかでも、皮膚の中でも皮脂を分泌する皮脂腺と呼ばれる部位には、マラセチアと呼ばれる菌が住みついており、脂漏性皮膚炎を引き起こす原因としてその関与が疑われています。

脂漏性皮膚炎の症状

フケの症状によく似ているため、受け流してしまわないように注意が必要です

脂漏性皮膚炎になると、頭皮から髪の生え際にかけてフケを生じ、赤っぽい斑点が広がるほか、鼻の脇が赤くなって皮膚がポロポロとむけたりします。ほかにも耳のうしろ、ワキの下や太もものつけ根といった、汗やまさつの多い部位に湿疹・皮膚炎の症状が現れるようになります。かゆみを感じる場合もあります。

脂漏性皮膚炎では増殖した菌によって遊離脂肪酸が過剰に産生され、皮膚に刺激を与えて炎症を引き起こしますが、同時に表皮のターンオーバーが早まるようになります。そのため皮膚がはがれ、フケの症状となって現れるのです。

フケを気にして医療機関を受診する人で、脂漏性皮膚炎と診断される人は多いとされています。「いくら洗ってもフケが多く出る」という人は、脂漏性皮膚炎を発症しているかもしれません。

年代で見ると乳児期に多く見られるほか、思春期以降の成人でも発症しやすいとされています。

乳児期では生後2〜4週頃から髪の生えている部位やまゆ毛、おでこに黄色いかさぶたのようなものが現れ、皮膚が赤くなってポロポロとはがれますが、多くは生後8〜12ヵ月で治るとされています。成人の場合はフケの症状が出るのが特徴で、慢性化しやすく、治っても再発することが多いとされています。

これらの症状はアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬と似ている場合もあります。ですが、脂漏性皮膚炎では基本的に左右対称に症状が生じること、前述したように汗やまさつの多い部位に症状が出る点が特徴とされています。

脂漏性皮膚炎の治療法

脂漏性皮膚炎は皮膚炎の一種ですので、赤みやかゆみなどの炎症が強い場合には、抗炎症作用のあるステロイド外用剤を塗ることがもっとも有効と考えられます。

>ステロイド剤の基礎知識と上手な使い方

鼻の脇などの症状に用いる場合は、顔は皮膚が薄いため、なるべく短期間の使用にとどめるようにしましょう

>「正しく使えばステロイド外用剤は怖くない!」

症状によってはステロイド外用剤の使用だけで治る場合もありますが、炎症がおさまった後も菌が増殖し、症状が再発してしまうことがあります。そうした場合には、ステロイド外用剤の使用にあわせて抗真菌剤の塗り薬を用い、菌の繁殖を抑える必要があります。

また、ビタミンBの欠乏が症状を悪化させる原因となる場合もあるため、ビタミン薬(ビタミンB2、B6)を内服すると良いでしょう。かゆみがある場合には、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を内服します。

成人になって発症した場合、多くの人はその症状が慢性化しやすいとされており、治療は長期間にわたって継続しないといけません。そのため、ステロイド外用剤や抗真菌剤を用いた治療を行うと同時に、日常生活の中で行うスキンケアも症状改善のために重要となってきます。

脂漏性皮膚炎で重要となるスキンケア

薬局やドラッグストアでは「頭皮ケアシャンプー」などの専門コーナーをチェックしてみましょう

スキンケアでは、菌の増殖を抑えることが第一目的となります。脂漏性皮膚炎の原因となる菌は皮脂を好む性質があるため、毎日の洗髪、洗顔、入浴などによって過剰な皮脂を取り除くことが重要です。とくに頭皮は手や顔と違って洗える回数が限られているため、より入念で適切なケアが必要となります。

頭皮の洗い方のコツとしては、皮脂を落とそうと頭皮をゴシゴシこするとかえって皮膚を傷つけ、炎症を悪化させかねません。洗髪の際にはなでるようにやさしく、かつ皮脂をしっかり落とすよう丁寧に洗いましょう。洗い終わったらシャンプーの成分が頭皮に残らないよう、十分にすすぎ落とします。

リンスは菌を増殖させる油脂成分を含む製品が多いので、治療中は使用を控えると良いでしょう。

症状が気になる場合は、菌の増殖を抑える抗真菌剤が配合されたシャンプーやボディソープを使用するのもおすすめです。

適切なスキンケアで余分な皮脂を取り除くと同時に、皮脂そのものを過剰に分泌させない対策も必要です。睡眠不足や乱れた食生活、ストレスなどが脂漏性皮膚炎の症状に影響を及ぼしているかもしれません。日常生活全体を見直すことは、脂漏性皮膚炎に限らず、皮膚全般の健康維持には大切です。

脂漏性皮膚炎のスキンケア対策

  • 皮膚の清潔を心がける。
  • 石鹸やシャンプーはなるべく低刺激性のものを使う。
  • 頭皮のゴシゴシ洗いはNG。やさしく丁寧に洗う。
  • バランスの良い食事を心がける。ビタミンB群を忘れずに。
  • ストレスを発散させ、睡眠不足にならないよう心がける。

※皮膚全体が乾燥していても、脂漏性皮膚炎を生じている部位では皮脂が過剰に分泌されている。季節に関係なく、ベタついた皮脂を放置するのは厳禁。

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