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加齢と湿疹・皮膚炎について

この記事でわかること

    • 年齢による皮膚の変化と、加齢によって起こりやすい皮膚トラブルについて解説
    • 加齢により、皮膚の構造や水分量・皮脂量が変化し、トラブルを起こしやすくなる
    • 症状が軽いうちは保湿剤を使い、悪化した時は薬局などで症状にあったお薬を
    • 日々の観察と適切なケアで、症状の悪化と将来的な皮膚トラブルを予防しましょう

加齢と湿疹・皮膚炎について
年々、皮膚に関するトラブルが増えてきた…そんな実感、ありませんか?

人は年齢とともに体が成長し、そして老いていきます。これは当然、皮膚においても言えること。以前は自分には無縁と思っていた皮膚に関するトラブルも、しだいに身近な悩みとなっていくのです。

今回は、年齢による皮膚の変化について解説するとともに、加齢による皮膚トラブルの中でも多い湿疹・皮膚炎について取り上げます。

年齢とともに変化する皮膚

私たちの皮膚は一生のあいだ、変化し続けています。年齢とともに体つきが変わっていくのと同じように皮膚もまた、変化が進んでいるのです。

皮膚は外側から表皮、真皮、脂肪層の3 層から出来ており、若い頃には丈夫で健やかな状態を保っています。ところが加齢とともにいずれの層も薄くなり、皮膚が本来持っている機能も低下してくるのです。

一番外側にある表皮には、外界からの刺激物質の侵入を防ぎ、体内からの水分蒸発を防ぐ機能がありますが、表皮が薄くなることでこの機能も低下します。そのため、年齢とともに皮膚は弾力を失い、乾燥しがちになるほか、刺激物質が侵入しやすくなります。

真皮には、末梢神経(痛みや温度、触感などの感覚をつかさどる)、汗腺、血管などがありますが、真皮が薄くなるとこれらの数も減っていきます。末梢神経の数が減ると、皮膚の感覚が鈍くなります。汗腺は汗を蒸発させて体温をコントロールしているため、その数が減ると、暑さや寒さにあわせた体温調節が出来にくくなります。血管は皮膚に栄養を運ぶ役目があるため、その数が減ると皮膚のすみずみまで栄養成分が行き届かなくなるのです。

そして、皮膚の中でもっとも内側にあり、かつ筋肉の上にある脂肪層も、太ももやお腹以外の部位では徐々に減少していきます。脂肪層は体を外気温の変化から守るクッションのような機能があるため、脂肪層の減少により、年齢とともに寒さを感じやすくなります。

加齢による皮膚トラブルにはどんなものが?

加齢による水分量・皮脂量の変化年齢とともに、皮膚に関するトラブルが増えていると感じる人も多いでしょう。それは決して、気のせいではありません。前述したような皮膚構造の変化によって、私たちの皮膚は年々、トラブルを起こしやすい状態になってきているのです。

加齢による皮膚トラブルは、大きく2 つに分けて捉えることが出来ます。

年齢とともに増えるシワや皮膚のたるみ。これらはとくに女性にとってやっかいな悩みですが、いずれも生理的な老化現象と捉えることが出来ます。そのため、審美的な目的で施術を行うことはあっても、病気として扱われることはなく、治療の対象にはなりません。

一方、加齢による皮膚トラブルの中には、生理的な老化現象の範囲を超えて、病的な皮膚疾患へと進行するものもあります。

「最近、肌が乾燥しやすくなった」と感じることはないでしょうか。肌の乾燥は単なるカサカサ肌と放置しがちですが、若い世代であれば自然と治っていくことが多いのに比べ、中高齢の場合は徐々に病的な症状へと進行するケースが多く見受けられるのです。

カサカサ肌の状態は別名「乾皮症(かんぴしょう)」と言い、この段階で適切なケアを行わないままでいると、どんどん病的な状態へと進んでいきます。

乾皮症が悪化すると、皮膚があちこちかゆくなる「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」になるほか、赤みやブツブツとした湿疹が出来てかゆみも伴う「皮脂欠乏性湿疹」に進行します。

さらに悪化すると、貨幣(コイン)のような形をした湿疹が出来て水疱を伴う「貨幣状湿疹」が現れることも。貨幣状湿疹はかゆみが強く、掻くことで細菌が繁殖し、患部が化膿するなど治療に困難を伴うケースも多く見受けられます(「冬本番!に備える乾燥肌Q&A」を参照)。

とくに冬場は、皮膚のかゆみや湿疹などを訴えて医療機関を受診する患者さんが増えますが、若い世代に比べ、中高齢、とくに高齢の患者さんで症状を持つ人の割合が高いとされています(※1)。

また、年齢を重ねるほど皮膚が持つ機能が低下していくため、こうした症状は治りにくく、ときには慢性化する恐れがあります。そのため、加齢による湿疹・皮膚炎はなるべく早い段階で治療を行うことが求められます。

(※1)老年者に多い皮膚疾患、今村貞夫、clinician,1993 より

加齢による皮膚トラブルの治療法

加齢による湿疹・皮膚炎は、症状が軽いうちは保湿剤(へパリン類似物質、尿素、グリセリン、ワセリンなど)を用い、こまめに皮膚に潤いを与えるようにします。

それでも悪化してしまった場合には、近所の薬局やドラッグストアなどで、薬剤師に相談をしながら症状にあったお薬を選ぶと良いでしょう。

湿疹・皮膚炎と治療方法

基本的に
使用しない
基本的に
使用する
症状に応じて
使用する
症状 日頃のケア 外用 内服
乾皮症 保湿剤 ステロイド外用剤 抗アレルギー剤
抗ヒスタミン剤
皮膚掻痒症 保湿剤 ステロイド外用剤 抗アレルギー剤
抗ヒスタミン剤
皮脂欠乏性湿疹 保湿剤 ステロイド外用剤 抗アレルギー剤
抗ヒスタミン剤
貨幣状湿疹 保湿剤 ステロイド外用剤※ 抗アレルギー剤
抗ヒスタミン剤

注:あくまでも基本的に用いられる製品を挙げています。患者さん個々の症状の程度や治療経過等によって、用いられる製品の選択肢が異なってくる場合もあります。
※貨幣状湿疹の場合は細菌が繁殖し、患部が化膿しているため、抗生物質の配合されたステロイド外用剤を選ぶといい

年齢ともに皮膚が薄くなるという点で、ステロイド外用剤の吸収率が高まり、副作用が起こりやすくなるのではと心配される方がいらっしゃるかもしれません。

薬局やドラッグストアで購入できるOTC 医薬品のステロイド外用剤は、患者さんがセルフメディケーションで使用するためのものです。そのため、適正に使用すれば副作用の心配はほとんどありません(「正しく使えばステロイド外用剤は怖くない!」を参照)。

年代に適したステロイド外用剤を選びましょう

年代層
(目安)
赤ちゃん
(2歳未満)
子ども
(幼児~小学生)
大人
(中学生以上)
高齢者
(65歳以上)
ランク ウィーク マイルド ストロング ストロング

OTC 医薬品では、世代に応じてステロイド外用剤の強さのランクを使い分け、使用期間や部位の注意事項を守れば安心して使用することが出来ます。

とくに高齢者では症状が治りにくく、長引く傾向にあるため、早い段階で強いタイプのステロイド外用剤を使い、充分な効果を得て悪化を防ぐ必要があります。

少しでも食い止めるためには…

胃や心臓、腸といった内臓は、自分の目で確認することは出来ません。たとえ病的な変化が進行していたとしても、痛みなどの症状が現れるまでは、自覚することは難しいでしょう。

その点、皮膚はつねに視覚的に観察が出来るということから、加齢による変化や病的な症状を自ら確認しやすい臓器なのです。

皮膚の観察と言っても、多くの人は毎朝の洗顔やお化粧の際に、鏡で顔をじっくり見るほか、たまに手や指先を見る程度で、全身をくまなくチェックすることは稀かもしれません。加齢による影響は、顔や手だけでなく、全身の皮膚に現れてきます。

お風呂に入る前などにちょっと時間をつくって、体のすみずみまで観察する習慣を身につけると良いでしょう。

そこで、もしカサカサしている部位があればすぐに保湿剤を塗るなどして、早め早めの対応を心がけます。観察と同時に、日常的に下記の項目を守り、加齢による皮膚の変化を加速させない努力が必要です。

皮膚の老化は誰にでも訪れますが、日々の観察と適切なケアによって、悪化を食い止めるだけでなく、将来的な皮膚トラブルを予防することも可能でしょう。

加齢による皮膚トラブル対策のポイント

  • 暖房(エアコン、電気毛布、ホットカーペットなど)を使いすぎない
  • 暖房を使う際は、同時に加湿器などで加湿する(濡れた洗濯物を室内で干すのも良い)
  • 熱いお風呂は避ける(42 度を超えると皮膚への刺激が高まる)
  • お風呂では体の洗いすぎ、手洗いのしすぎに注意
  • 石鹸は洗浄力の高いものを避け、なるべく低刺激な製品を選ぶ
  • お風呂上りには水分を良く拭いて(こすらず、タオルで叩くように)、すぐに保湿剤を塗る
  • 乾燥する季節にはぴったりと長めの下着でおおい、皮膚からの水分蒸発を防ぐ
  • 皮膚のかゆみを増進させるアルコール、香辛料は控える

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