子どものあせも、 ほうっておくとどうなるの?

子どものあせも、 ほうっておくとどうなるの?
節電もあって暑い今年の夏。子どもは汗をかきやすい上、かきっぱなしになることが多いため、あせも対策は必須です。

今回は、そんな子どものあせもを予防する方法、対策についてご紹介します。

節電の夏~子どものあせもに要注意!

夏がくるたび「毎年、こんなに暑かった?」という会話をしていませんか?日本の夏は昔にくらべて暑くなっているような気がしますが、それはあながち気のせいでもないようです。

気象庁が国内17地点で観測したデータによると昨年、1898年の観測開始以降、もっとも高い平均気温を記録したのだとか。熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)や、猛暑日(日中の最高気温が35℃以上を超える)も年々増えているそうですから、夏がくるたびますます暑く、過ごしにくくなっていると感じるのも無理はありません。

そこで心配になるのが、夏に多くみられる皮膚トラブルのひとつ、あせもです。あせもは、大量の汗をかくことで汗腺が詰まり、皮膚内に汗がたまって生じる皮膚トラブルのことです。

もともと汗をかきやすい子どもに多くみられますが、今年はさらに、節電対策でエアコンの使用を控え、設定温度を高めにする施設が増えていることから、あせもになる子どもが増えることが懸念されます。

とくに、乳幼児の場合はあせもができても自分で症状を訴えることができませんから、そばにいる親や保護者がまめに皮膚の状態を観察し、なるべくあせもをつくらない、つくってしまったら早いうちにケアをするといった対策が必要でしょう。

あせもになったらどんな症状が出るの?

これまで子どものあせもを経験したことのない親の場合、なかなかあせもと分からないかもしれません。

参考までに、ほかの皮膚トラブルの症状を挙げると、たとえば蕁麻疹(じんましん)なら大小さまざまな「蚊に刺されたようなプクッとした腫れ」が皮膚のやわらかい部位を中心にあらわれ、強いかゆみを伴います。数時間で消え、またあらわれることがあるのも特徴です。

アトピー性皮膚炎の場合は、強いかゆみとともに「赤みがある」「ジクジクする」「かさぶたになる」などの症状があらわれ、とくに乳児では顔、首や耳のまわり、よだれやミルクのつきやすい胸などにできやすいという特徴があります。

水晶様汗疹ができた皮膚の様子


症例画像を鮮明にする

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あせもはおもに、写真のように皮膚の表面に透明で1~3mmほどの水ぶくれができる「水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)」と、「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」と呼ばれるものがあります。

水晶様汗疹はかゆみがないため、症状が出ても気づかない場合もあり、大事には至らず、数日で治癒することが多いです。一方、紅色汗疹は炎症とかゆみを伴う赤いブツブツがたくさん現れます。これは、かき壊して悪化しやすいために適切な治療が必要です。

また、あせもは頭や額、首まわり、ひじの内側、足のつけ根やお尻、ひざの裏側など、汗をかきやすく、たまりやすい部位にできやすいことも、あせもと判断する材料になるでしょう。

子どもにあせもができやすいのはなぜ?

汗の成分はその9割が水分で、残りも塩分やミネラルなど、体にとって必要なものばかりが含まれています。ですから、けっして汗そのものが不衛生というわけではありません。

むしろ皮膚を乾燥から守ったり、体温を調節したりするなど、私たちの体にとって重要な役割を担っています。

とくに夏は汗をかくことで体温を下げる効果があるため、汗はきちんとかいた方が良いのです。ただ、たくさん汗をかいた後、放置するとあせもなどの皮膚トラブルを引き起こすため、自分で汗をふけない小さな子どもは特に、あせもができやすくなります。

さらに、子どもにあせもができやすい理由があります。

汗は汗腺から分泌されますが、この汗腺の数は大人も子供もほぼ同じです。つまり、子どもは大人に比べ体が小さいため、小さな面積に汗腺が密集し、たくさん汗をかいてしまうのです。

また、子どもは大人に比べ、皮膚のバリア機能が未発達という問題もあります。皮膚は、もっとも外側にある角質層が外界からの刺激をはねのける「バリア機能」を担っていますが、子どもの場合は角質層の形成が未発達で、バリア機能は弱くなっています。

そのため、個人差はあるものの、大人にくらべ、ちょっとしたことがきっかけで湿疹や皮膚炎ができやすくなるといえるでしょう。

子どものあせも、どうやって治す?

環境への配慮からエアコンの使用を控えめにするのは以前からの流れですが、今年はさらに節電対策を実践する企業や家庭も増えています。

しかも、昔とは建物の密集度や構造が変わり、風とおしが悪く、熱や湿気がこもりやすい建物が増えているのも事実です。

そうした中で、子どもが体調を崩したり、あせもなどの皮膚トラブルを悪化させたりしないよう、子どもの様子を観察しながら下記の対策をとると良いでしょう。

乳幼児の場合

  • おむつはこまめに取り替える
  • 直接肌にあたる衣類は、吸水性・通気性が高いものを選ぶ
  • 定期的に、汗をかいていないかチェックする
  • 汗をかいたら、こまめに乾いたハンカチやタオルでやさしく拭き取る
  • 大量に汗をかいたら、ぬるめのシャワーや沐浴で汗を流す

子どもの場合

  • 小学生くらいになれば、自分で汗をふくよう指導する
  • 汗をかいてかゆくなっても、かかないよう注意する
  • かゆみが強い場合は、冷たいタオルなどで冷やす

大人と違って子どもは「清潔」という概念を理解しにくいですが、ある程度の年齢になれば、自分で汗をふき、かゆくてもかくのをガマンするといったことを実践できるようになります。

また、適切なスキンケアであせもはある程度治りますが、あせもの中でも紅色汗疹は炎症の起きている湿疹ですので、ステロイド外用剤の使用が適しています。

子どもの場合、かきこわして化膿すると、とびひなどの感染症を引き起こすこともあるため、かきこわしてしまったら、抗生物質の配合されたタイプのステロイド外用剤を選ぶと良いでしょう。

監修

薬剤師

門田 麻里さん

北里大学・薬学部卒業後、製薬会社の開発部や医薬情報担当者として10年以上従事。
製薬会社勤務時代は、幅広い薬剤(ステロイドや抗生物質、高血圧、高脂血症、頭痛薬、メンタル疾患系、など)を扱い、説明会などを実施。医療関係者からの質問に数多く回答。 また、薬剤師という立場上、一般の人からも薬に関する相談を多く受ける。
その中で、薬に対して、過度に怖がる人も多く、正しい知識を伝達することの必要性を感じる。
自身も一児の母であり、自身だけでなく家族の皮膚のトラブルにも対応してきたことから、経験に基づいたアドバイスも可能。

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