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虫にさされたら、どうする?

虫にさされたら、どうする?

虫さされは、とても日常的な皮膚病のひとつです。蚊、ブヨ、ノミ、ハチなど、身近な虫が原因となることが多く、完全に予防することはなかなかむずかしいものです。

今回は代表的な虫の特徴と、刺されたときの症状および治療法についてご紹介しましょう。

虫さされとは?

虫さされとは?

虫に刺されると、赤い発疹、かゆみ、痛みなどの炎症症状がみられます。それぞれの虫に特有の毒成分や、唾液に含まれる成分が私たちの皮膚に注入されるからです。これらの物質によって生じるアレルギー反応が虫さされの症状です。(詳しくは、『湿疹・皮膚炎・かぶれはなぜ起こる?』参照)。

虫さされの原因となる虫にも蚊、ブヨ、ノミ、ダニなどの「吸血する虫」、クモやムカデなどの「咬む虫」、そして「刺す虫」のハチがいます。毛虫の場合は、有毒の毛に触れることで炎症が起きます。

アレルギー反応には、アレルギーを引き起こす物質に接してすぐに起こる「即時型反応」と、ある程度時間がたってから起こる「遅延型反応」があります。

例えば蚊に刺されても、年齢によってすぐに発疹ができてかゆくなる場合と、1~2日たってから赤い発疹とかゆみがあらわれる場合があるということをご存知でしたか?

すぐに起こる症状が「即時型反応」、2~3日たってあらわれた症状が「遅延性反応」です。

蚊の場合、乳幼児は遅延型反応のみ、幼児期から青年期(15~24歳)は即時型反応と遅延型反応の両方、青年期~壮年期(25~44歳)からは即時型反応のみが出現し、高年期(65歳以上)はどちらの反応もあらわれにくくなるとされていますが、個人差が大きく、人によって症状のあらわれ方は異なります。

虫さされの原因となる虫とそれぞれの症状

虫に刺された!とわかったときにはすでに虫の姿がないことも多く、原因となった虫を特定することは難しいのが現実です。

しかし、日常の生活で刺されやすい虫と、その虫さされ症状を知っておくことで、適切な対応や治療ができます。代表的な虫の特徴と、刺されたときの症状は次の通りです。

●吸血する虫


  • 家の中、庭、公園、野山などどこにでも生息しています。体長5mmほどで、メスだけが吸血します。
    刺されてすぐに発疹ができ、かゆくなる即時型反応と、1~2日後に症状が出る遅延型反応の両方があらわれますが、前述したように年齢であらわれ方が変化する傾向があります。
  • ブヨ
    地域によってはブユ、ブトとも呼ばれます。高原や山の渓谷沿いに多く生息し、体長2~4mmほどでハエのような姿をしています。
    刺されて半日くらいしてから赤い発疹があらわれ、だんだんかゆみが強くなります(遅延型反応)。人によっては赤いしこりとなって長く残ることもあります。
  • ノミ
    ネコノミによるものがほとんどです。ネコノミという名前ですが、ネコだけでなくイヌにも寄生します。イヌやネコを飼っていなくても、庭や公園などでそこに来た人間を刺すことがあります。体長は2~3mmほど。
    刺されて1~2日後に赤い発疹と強いかゆみがあらわれ、水ぶくれができることもあります(遅延型反応)。
  • ダニ
    ネズミに寄生するイエダニによるものがほとんどです。イエダニの仲間は体長0.7mmほどと小さく、布団の中にも入り込むので、夜寝ているときに被害にあう人が多いようです。わき腹や太ももの内側など、皮膚のやわらかい部分が刺されることが多いのも特徴です。
    刺されて半日~1日後くらいに赤い発疹と強いかゆみがあらわれます(遅延型反応)。
    山などのアウトドアではマダニに刺されることもあります。マダニは体長1~3mmと大きく、皮膚で吸血しているのを無理に取ろうとすると、頭が皮膚に残って炎症を起こすことがあります。
    また、ダニの種類によっては感染症を移すこともあるので注意が必要です。
  • アブ
    牛や馬のいる牧場などで多くみられます。蚊と同じくメスだけが吸血します。
    刺されると強い痛みを感じ、その後赤く腫れてかゆみもあらわれます(遅延型反応)。全身的に微熱が出ることもあります。

●咬む虫

  • クモ
    草むらだけでなく家の中にもいます。クモは虫を取って食べるため、ほとんどのクモは虫を殺す程度の毒をもっています。しかし、人が死ぬほどの毒をもっているものは限られます。ふつうのクモの場合は咬まれたときに痛みを感じ、赤く腫れてきます(即時型反応)。
    日本にもいるセアカゴケグモという強い毒をもつクモの場合は、毒が少ないので重症化することはあまりないといわれていますが、激痛やリンパ節の腫れ、呼吸困難などがあらわれたらすぐに病院に行きましょう。
  • ムカデ
    落ち葉や石の下、古い家などに生息しています。不用意に払ったりしたときに咬まれます。
    咬まれると激痛が走り、しびれが生じます。だんだん赤く腫れ(遅延型反応)、人によってはハチに刺されたときのようなショック症状(ハチの項を参照ください)を起こすこともあります。

●刺す虫

  • ハチ
    多くはアシナガバチやスズメバチによるものです(ミツバチは養蜂業の方には多くみられますが、一般にはまれです)。アウトドア活動で被害にあうことが多く、刺されるとまず強い痛みを感じ、皮膚が赤く腫れます。
    はじめて刺されたときは、ふつう1日以内に症状が治まります(即時型反応)。2回目以降は、ハチ毒に対するアレルギー反応のために刺された直後からじんましんが出たり、1~2日後に赤く腫れるなど(遅延型反応)します。
    アレルギー反応が強い方では、刺されて30分~1時間で血圧低下や意識消失が起こり、場合によっては死に至るため、すぐに病院に連れて行く必要があります。このような症状を「アナフィラキシーショック」といいます。

●有毒の毛に触れると皮膚炎を起こす虫

  • 毛虫
    有毒の毛をもっているのはごく一部の毛虫(チョウやガの幼虫)です。毒のある毛虫に触れると、赤い小さな発疹がたくさんあらわれ、激しいかゆみをともないます。
    じんましんのようになることもあり、掻くと広がっていきます。庭木の手入れなどをしたあとに、首や腕に集中してあらわれることがよくあります。イラガというガの仲間の幼虫の場合は、触れた瞬間ピリピリとした痛みと発疹が生じ(即時型反応)、1~2時間でいったん治まるものの翌日赤く腫れてかゆくなることがあります(遅延型反応)。

虫に刺されたらどうする?

虫に刺されたらどうする?

虫に刺されたら、まずその部分を洗い流して清潔にします。ハチや毛虫の場合は、セロハンテープなどを軽く皮膚に当てはがし、残っている毒針や毒毛を取り除きます(あまり強くしないようにしましょう)。

その上で冷やし、できるだけ掻かずに、炎症を広げないようにしましょう。

アンモニアを塗るという対応は、効果が実証されていないためおすすめできません。

虫刺されに使われる塗り薬としては、かゆみを鎮めるための抗ヒスタミン成分を配合した外用剤(抗ヒスタミン剤)と、炎症を抑えるステロイド外用剤が代表的です。

抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンという体内物質の活動を抑えることでかゆみを鎮める薬で(詳しくは、『湿疹・皮膚炎の薬の種類の選び方』参照)、その外用剤を外用抗ヒスタミン製剤といいます。

蚊の即時型反応で症状が軽い場合は、まずは市販の外用抗ヒスタミン製剤で様子をみるのもよいでしょう。

しかし、同じ即時型反応でもハチや毛虫の場合や、遅延型反応の虫さされでは、できるだけ早くステロイド外用剤を使って炎症を抑えることをおすすめします。

外用抗ヒスタミン製剤は、かゆみを軽減させることはできますが、かゆみの根本原因である炎症を抑えるはたらきはありません。炎症が悪化すれば、腫れやかゆみなどの苦痛が増しますし、掻き壊すことによってさらに炎症が悪化し、子どもの場合はとびひなどの細菌感染や、水イボなどのウイルス感染を引き起こすおそれもあります。

子どもの虫さされにステロイド外用剤を使いたいという場合は、年齢と症状を伝えて薬剤師に相談すると安心でしょう。

虫さされでも症状が強い場合は、内服薬の抗ヒスタミン剤やステロイド剤による治療が必要なこともあります。腫れがひどいときや、全身に熱が出たときは病院を受診しましょう。

たかが虫さされとあなどることなく、早めに炎症の治療を早期に行うことが大切です。抗炎症作用にすぐれたステロイド外用剤は、使用法を守れば安心して使える薬です。(詳しくは、『正しく使えばステロイド外用剤は怖くない!』参照)。

これからの季節に増える虫さされの治療にぜひ役立ててください。

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