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薬局でよく聞く!ステロイド外用剤の誤解

薬局でよく聞く!ステロイド外用剤の誤解>

ステロイド外用剤の誤解はなぜ生まれたの?

ステロイド外用剤が開発されてから半世紀以上がたちます。

50年以上という長きに渡って世界中の医療現場で使用されてきたにもかかわらず、いまだに多くのステロイド外用剤にまつわる誤解があるのはなぜでしょう?

その理由としては、まず「内服や点滴など、長期間にわたって全身に投与した場合と勘違いしている」というのがあげられます。

マスコミなどを通じて、全身に投与した場合の副作用が「怖い!」というイメージが先行してしまい、「全身に使うのか」それとも「外用剤として使うのか」の違いを認識しないまま、「きっと強い薬に違いない」と脅威に感じられてしまったのかもしれません。

漫然と“怖い薬”という情報を広められてしまっているのは、本来は治癒することが目的なはずなのに皮肉なことです。

そのような状態を改善していくためには、正しい情報を知ることが大切!というわけで、今回は、ステロイド外用剤に関する代表的な質問に、お答えしたいと思います。

ステロイド外用剤に関する「よくある質問」

Q:ステロイド外用剤を使うと、皮膚が黒くなるって本当?

A:ステロイド成分が原因で皮膚が黒くなることはありません。

しかし、ステロイドに限らず、その他の外用剤を使った時でも、添加物の成分が原因で日焼けを起こすことがあります。ステロイド成分によって、血管が収縮して肌が白くなったり、長く使うことで皮膚が薄くなって赤くなったりするケースはあります。

「黒くなった」と誤解されるのは、ステロイド外用剤を使ったことによるものではなく、皮膚が治癒していく過程での一時的な変化によるものです。「長い間、治療をせずに放置しておいたことにより炎症が悪化していた」「治療を途中でやめてしまっていたために皮膚の状態がよくなかった」といった場合、特に黒くなると考えられます。

Q:ステロイド外用剤を使うことで体内に残ったり、癖になったりするって本当?

A:いいえ。ステロイド外用剤の成分は体内に蓄積されることはありません。

また、上手に活用することで患部の症状がよくなれば、ステロイド外用剤の使用をやめることは可能です。

Q:ステロイド外用剤を使うと、顔が丸くなったり、骨がもろくなったりするって本当?

A:大量に長期使用した場合になる可能性があります。しかし、ここでいう大量とは、1日で10gチューブを4本も5本も使うような場合なので、セルフメディケーションでは考えられない使い方です。

このような誤解が生じてしまう理由は、まれに起こる注射や内服などによるステロイドの全身的副作用と勘違いされているからだと思われます。

“ムーンフェイス”と呼ばれる顔が丸くなる現象は、ステロイドの注射や内服を長期間続けるとよく見られる副作用ですが、投薬を中止すると元に戻ります。また、注射や内服の長期大量投与により、骨がもろくなることもありますが、通常、そうならないようにお医者様が投薬管理を行っています。

Q:「副作用」と「リバウンド」が心配ですが…?

A:ステロイド外用剤を使うにあたっては、どちらも過剰に心配しなくていい事柄です。

とはいえ、多くの患者さんが気になっている「副作用」と「リバウンド」。こちらについては、もう少し詳しく説明していきましょう。

ステロイド外用剤の「副作用」とは?

ステロイド外用剤を使うときに抱く不安のほとんどは、「ステロイド=副作用が怖い」というものだと思います。

ところで、もともとステロイド外用剤の副作用には、2種類あるということをご存じでしょうか?

  • 全身的副作用
    「顔が丸くなる」「骨がもろくなる」というように症状が全身レベルで現れるもの
  • 局所的副作用
    長期連用した場合に「皮膚が薄くなる」「ニキビができやすくなる」など、塗った部分に症状が現れるもの

当然のことながら、ステロイド外用剤の使用に際しては、適量を正しい使用方法で塗布することが大前提となりますが、特にOTC医薬品でセルフメディケーションをする場合、使用量や期間を守れば全身的副作用が問題となることはほぼないといっていいでしょう。

非常に強いレベルのステロイド外用剤を著しく大量に長期間に渡って使用しない限り、全身的副作用が起きることはまず考えられません。

局所的副作用にしてもステロイド外用剤を塗布したところに必ず現われるということではありません。

例えば、化粧下地やひげそり後の使用など治療目的以外に用いるのは、正しい使い方ではありません。このような使い方をして、同一箇所に毎日、長期に渡って使用する結果に陥ってしまうと、局所的副作用が起こりやすいことがわかっています。疾患部位だけに短期間の使用にとどめるという正しい使用方法で、副作用を起こさないような使い方をこころがけてください。

ステロイド外用剤に限らず、医薬品全体に言えることですが、理解しておきたいのは、副作用は恐怖心をあおるためのものではないということ。

もし副作用が起こってしまった場合には、早めに気づき対処することが何よりも大切なことです。そのために医薬品の添付文書には、非常に低い確率でも起こりうる可能性のある副作用は全て記載しているのです。

過剰に副作用を恐れて薬を使わないことは、疾患を悪化させたり、長引かせてしまう結果となってしまいます。

ステロイド外用剤の「リバウンド」とは?

ダイエットでよく使われる“リバウンド”という言葉。実は、強いレベルのステロイド外用剤の使用にあたっても、たびたび聞かれるフレーズです。まずは、“リバウンド”という言葉の意味からおさらいしましょう。

たとえば、ある病気の治療をするときに薬を使っているとしましょう。

もしも治療の途中で薬を急にやめてしまったら、病気が治らないのは当然ですね。

ところが治らないどころか、一時的に薬によって症状を抑えていた「防波堤」の役割が失われることによって、治療をはじめる前よりも、さらに悪化してしまうケースもあります。これを、リバウンドといいます。

つまり、“ステロイド外用剤のリバウンド”とは、使用前の状態よりも患部が悪化してしまう、ということを意味します。

セルフメディケーションの対象となる湿疹・皮膚炎は、急性湿疹に分類されるもので、原因がわかっていれば、原因物質との接触を断ち、薬物治療で症状を抑えることで完治させることができます。

この場合、ステロイド外用剤を使って症状が改善した後、ステロイド外用剤をやめても症状が悪化することはありません。

一方、アトピー性皮膚炎に代表される慢性湿疹は、一時的に症状が良くなっても完治することはありません。そのため長期間、広範囲に薬物治療を続けることになります。

ステロイド外用剤を何ヶ月も長期連用すると、副腎機能の低下により体内で作られる副腎皮質ホルモン(抗炎症作用を持つ、天然のステロイド成分)が減少してしまい、従来身体が備えていた抗炎症作用を発揮できない状態になっています。

その状態でステロイド外用剤を止めると、炎症が増強されて症状が悪化します。皮膚科専門医は、そうならないように薬物治療を行います。

例えば、ステロイド外用剤を1週間使って症状が良くなったら、1週間は保湿剤と抗ヒスタミン剤でコントロールする、あるいは、ステロイド外用剤の使用回数を徐々に減らしていくなど、副腎機能に影響がでないようなステロイド外用剤の使い方をします。

適切な治療であれば、リバウンドと呼ばれる現象は起きません(起きないような治療が行われています)。

セルフメディケーションで慢性湿疹の治療をすることはできません。自分勝手な判断で治療を中止することなく、お医者様の指示に従うようにしましょう。

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