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皮膚の炎症で「抗生物質」は使うべき?

皮膚の炎症で「抗生物質」は使うべき?

湿疹・皮膚炎にも 「抗生物質」は使うものなの?

みなさんは、どんなときに“抗生物質”と接する機会がありますか?

おそらく、多くの方は「風邪をひいたときに処方される薬」とお考えになるのではないでしょうか。このように、一般的には飲み薬としてのイメージが先行している抗生物質ですが、実は湿疹や皮膚炎の治療では、塗り薬としても使われます。

そもそも抗生物質は、別名を「抗菌薬」と呼ばれていることから想像できるように、感染症の原因となる微生物の発育を阻害したり、死滅させたりする働きがあります。

つまり、細菌が原因で起こる病気に対して、抗生物質は効果を発揮するのです。もちろん、風邪をひいたときに抗生物質が処方されるのも同じ理由からです。

それでは、具体的に、湿疹・皮膚炎の治療で、抗生物質がどのように用いられるのか、みていきましょう。

ご存じの通り、湿疹や皮膚炎にかゆみはつきもの。「かゆいから」とかいていると、次第にジュクジュクしてきたり、白いウミが出てきたり…。このようなかき壊してしまった傷口では、細菌が増殖しやすい状態になっています。そこで細菌によって更なる炎症が起こると、湿疹・皮膚炎は悪化してしまいます。

炎症を起こしている患部には、抗ヒスタミン剤など、ただ、かゆみを抑える働きだけの薬を使っても治りません。

炎症の大本に作用するステロイド薬できちんと炎症を抑えることが必要ですが、ステロイドには免疫抑制作用があるので、逆に細菌の繁殖を助けてしまうことも…。そんなときには、細菌の増殖を防ぐ働きのある抗生物質が配合されたステロイド薬が有効です。

そこで今回は、抗生物質が配合された薬について、詳しくお話ししていきたいと思います。

お子さんへの抗生物質使用に関する不安について

抗生物質には、細菌の増殖を防ぐことで、ひいては炎症を和らげる働きがあることをお伝えしましたが、実際に抗生物質が配合された薬を使用することについては「少し抵抗がある」という方もいらっしゃるかもしれません。

特に、お子さんに対する薬の選び方で悩む親御さんからのご相談は少なくありません。抗生物質の使用に際して不安に思う主な要因は、「子供には強すぎるのではないか」「抵抗力が弱まってしまうのではないか」「耐性菌ができてしまうのではないか」という点ではないでしょうか。

たしかに、抗生物質を飲む場合には、腸内の悪玉菌のみならず、善玉菌の働きを弱める事で、お腹がゆるくなったりすることはあります。

このような場合には、抗生物質に強い乳酸菌(善玉菌)製剤を併用することで対処できます。また、お医者さんからもらったお薬を用法・用量を守って服用すれば、耐性菌が出現する可能性は低いものといえます。服用期間は、短過ぎても長過ぎてもいけません。

一方、塗り薬に配合されている抗生物質は、塗った部分にのみ作用するので、吸収されて全身的な作用が出る可能性は、ほとんど無いといってかまわないでしょう。

また、健康な皮膚に使わない、予防的に使わない、長期間(1週間以上)使わないなど、患部のみに短期間使用することが、耐性菌の出現を予防する一番の方法です。

抗生物質を正しく使って短期間で治すことは、子どもの負担の軽減にもつながるでしょう。

子どもがむずがって泣いたり、かゆみで苦しんだりする期間は、できるだけ少なくしてあげたいと思うのが親心ではないでしょうか。やみくもに怖がって、抗生物質を使わずに悪化した症状を長引かせてしまうよりは、正しい知識と判断で治癒を心がけたいものですね。

抗生物質が配合されたステロイド外用剤は、どのような症状で使うべき?

次に、抗生物質が配合されたステロイド薬について、具体的にどのような症状のときに使用したらいいのかをお話ししましょう。

抗生物質が配合された薬は、ジュクジュクしてきたり、水ぶくれができたり、白いウミが出てきたりといった、いわゆる“化膿した”患部への使用が適しています。

本来は、“皮膚のバリア機能”があり、皮脂膜により細菌が繁殖しにくくなっている皮膚ですが、かきこわすことで欠損した表皮から細菌が入り込んでしまいます。つまり、バリア機能が働いていない状態の皮膚に細菌が入り、そこで細菌が増殖して炎症が悪化した状態が“化膿”です。

化膿を伴う皮膚トラブルには、大きく分けて2つあります。1つは湿疹・皮膚炎がかき壊しなどで悪化した化膿、もう1つは単なる細菌感染で炎症を起こしている化膿です。

湿疹・皮膚炎の悪化した化膿

湿疹・皮膚炎の治療がベースとなります。

湿疹・皮膚炎の治療では、一般的にステロイド外用剤を使用しますが、抗生物質成分が配合されていないステロイド外用剤は、化膿している患部には使用できません。この場合に使用できる薬剤には、非ステロイド剤と抗生物質配合ステロイド外用剤があります。

化膿した湿疹・皮膚炎は、炎症が強く、症状が進行しているケースが考えられるので、優れた抗炎症作用があり、かつ細菌の増殖を抑えることができる抗生物質配合ステロイド外用剤がよいでしょう。

細菌感染の化膿(とびひ、めんちょう、毛のう炎、にきびなど)

感染症の治療がベースとなります。通常、抗生物質の内服による治療が行われますが、セルフメディケーションでは抗生物質の内服薬は使用できないので、代わりに抗生物質外用剤を使います。

広範囲の場合、感染箇所が皮膚表面から深い場合など症状がひどい時は、内服での治療が必要なのでお医者様に診てもらいましょう。

薬の成分にもっと意識を向けてみよう!

皆さんは、薬を購入する際に、きちんと成分や効能を確認するようにしていますか?

昨今「セルフメディケーション」という言葉が広く聞かれるようになってきていますが、「健康や医療に関する情報・知識を駆使して、健康管理や軽い病気・ケガの手当てを自らの判断で行うこと」ができるようになっていくためには、自身で「どんな成分が入っているか?」「どんな効能があるか?」など、大切なポイントをきちんと意識していくことが必要です。

たとえば、「ステロイド外用剤」と「抗生物質が配合されたステロイド外用剤」の違いについても、パッケージを見ると詳しい情報が書かれていることに気づきます。

多くの一般的なステロイド外用剤の場合、その効能は「湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、かゆみ、ただれ、しもやけ、虫さされ、じんましん」となっています。

ところが、抗生物質が配合されたステロイド外用剤の場合では、「化膿を伴う次の諸症:湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん」となっていることに気づくでしょう。

抗生物質が配合されたステロイド外用剤の使用方法については、一般的なステロイド外用剤とほとんど変わりがありません。

ただし、抗生物質が配合の有無を問わず、ステロイド外用剤は、水疱瘡や麻疹、水虫や爪白癬などのウイルスや真菌の感染部位に使用できないのでご注意ください。

症状や患部に適した正しい薬選びをするためにも、専門家に相談しながら、その薬の成分や効能などを意識して、使用するようにしましょう。

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