教えて薬剤師さん

「ひび・あかぎれ」にはどう対処する? 掲載日:2009年01月15日

日常生活を送る上で何かとやっかいな「ひび・あかぎれ」。冬の季節にとくに多く見られる症状です。赤く、ひび割れてしまった患部は、思わず目をそむけたくなるもの。この見た目に痛々しい「ひび・あかぎれ」も、その原因は冬の季節にありふれた肌の乾燥にあるのです。今回は「ひび・あかぎれ」を作らないための日常生活のコツや、出来てしまったときの対処法について解説します。

「ひび・あかぎれ」ってどんなもの?
角質層の脂質や水分が奪われ、肌表面の溝(みぞ)に沿って生じた亀裂が「ひび」。この状態がさらに悪化し、真皮層まで深く亀裂が生じてしまったものが「あかぎれ」です寒さや乾燥のますます厳しい季節になってきました。冬は、乾燥や痒みなどさまざまな皮膚トラブルに悩まされがち。なかでも日常生活に大きな支障をきたすトラブルに「ひび・あかぎれ」があります。「ひび・あかぎれ」とひとくくりにして呼ばれることが多いように、いずれも肌に亀裂の入った状態を指しますが、症状に応じて程度の軽い方を「ひび」、重い方を「あかぎれ」と呼んでいます。

冬になると手足の乾燥がひどくなり、カサついた状態になっているのを感じる方も多いでしょう(「冬の手荒れ・乾燥肌にどう対応する?」を参照)。こうした状態を改善しないでおくと角質層の脂質や水分が奪われ、肌表面の溝(みぞ)に沿って亀裂を生じることがあります。雨の降らない地域で土が水分を奪われ、ひび割れるのと同じ状態ですね。これが「ひび」の正体です。

この状態がさらに悪化し、肌表面にとどまらず真皮層まで深く亀裂が生じてしまったものを「あかぎれ」と言います。真皮層には血管があるため、亀裂部位から血がにじんで出てくる場合があります。肌が割れて赤く出血している状態は、見た目にも痛々しいものです。

「ひび・あかぎれ」が悩ましいのは見た目の問題だけではありません。「ひび」が生じると肌が赤くただれ、強い痒みを感じます。「あかぎれ」になるとピリピリとした痛みを伴うことも。そして日常生活においては、台所仕事や洗顔のたびに患部に水がしみたり、ちょっと指を動かしただけで傷口が開いて出血が繰り返されるなど、患者さんにとってはとても辛く、やっかいな症状なのです。
「ひび・あかぎれ」が出来るのはなぜ?
「ひび・あかぎれ」が冬場に多く見られるように、その原因はおもに、空気の乾燥や気温の低下といった環境に問題があります。冬は1年を通じてもっとも空気が乾燥する季節です。おまけに気温が下がって汗をかく機会が減るため、汗と皮脂が混ざりあって出来る「天然の保護クリーム」とも言うべき皮脂膜が作られにくくなります。

また、気温の低下によって血行が悪くなると、肌細胞に充分な栄養が行き渡らなくなります。すると肌は元気を失い、自身の力で肌細胞を再生し、亀裂を修復することが出来ない状態に陥ってしまいます。「ひび・あかぎれ」が体の末端にある手指や足、耳に出来やすいのは、こうした血行不良と関連しているためです。

手荒れに悩む女性のおもな症状(2009年12月・All About調べ・n=52)※クリックすると拡大しますさらに「ひび・あかぎれ」が出来る原因は、生活習慣にもあります。毎日のように水仕事をする主婦の方や調理師、美容師・理容師などには、強い手荒れが見られる場合が多くあります(「主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?」を参照)。これは、繰り返しの水仕事や洗剤、シャンプーの使用によって皮脂や角質が落ち、肌を保護するバリア機能が低下して起こるものです。こうした手荒れがきっかけとなって、「ひび・あかぎれ」の症状を生じることもあります。

そもそも手は、肌のバリア機能を保護する皮脂腺の分泌が少ない(手のひらには無い)部位です。かわりに角質層が厚くなってバリア機能を補っているのですが、角質層が厚いと肌が再生するのに時間がかかるため、いったん手荒れを起こすと治りにくいという問題があります。「ひび・あかぎれ」がとくに手に多く見られるのは、こうした手の特徴も関わっています。
「ひび・あかぎれ」の注意点と治療法
角質層の脂質や水分が奪われ、肌表面の溝(みぞ)に沿って生じた亀裂が「ひび」。この状態がさらに悪化し、真皮層まで深く亀裂が生じてしまったものが「あかぎれ」です通常、ケガをすれば患部は治療のために保護されます。「ひび・あかぎれ」がやっかいなのは、手や足といったよく使い、頻繁に動かす部位に出来やすいだけに、患部を完全に保護出来ないことです。そのため、ひび割れた部位に外部からの刺激が加わってさらに症状が悪化したり、なかなか治らないといった問題を生じてしまうのです。

まずは、日常生活において少しでも外部からの刺激を軽減するようにしましょう。「ひび・あかぎれ」を悪化させるものに炊事、洗濯などの水に触れる家事がありますが、これを完全に止めることは出来ません。水仕事をするときは、面倒でも可能な限りゴム手袋をつけ、ひび割れた部位が水に触れないようにしましょう。

ゴム製品にかぶれるラテックスアレルギーの方は、素手のまま着用すると手荒れがひどくなる恐れがあります。先に木綿の手袋をはめ、その上からゴム手袋を重ねると良いでしょう。アレルギーを持たない方でも、患部がひび割れたような状態になってしまったときには、傷口からゴムの成分が入り込んで症状を悪化させる場合があります。たとえ短時間の水仕事であっても、こうした対処をまめに行うことが重要です。

同時に、市販の軟膏やクリームで患部を保護し、症状の改善を行います。肌の保護剤として用いられるワセリンや、血行を良くする働きのあるビタミンEが含まれた保湿剤を塗り、肌の保湿につとめます。赤みや痒みが強く炎症が進行しているときは、充分な抗炎症作用をもったステロイド外用剤を塗ると良いでしょう。患部から出血して雑菌の繁殖する恐れがあるときは、抗生物質の配合されたものが適しています。

ひび割れた部位が外部の刺激を受けて痛い場合には、絆創膏などで一時的に保護すると良いでしょう。ただし、貼りっぱなしにしておくと肌の水分が閉じ込められて過剰な状態になり、角質層がふやけて皮脂膜がはがれ落ち、症状を悪化させてしまうので注意が必要です。
嫌な「ひび・あかぎれ」を繰り返さないために
見た目にも痛々しくやっかいな「ひび・あかぎれ」。いったん改善した症状を繰り返さないために、そして来年の冬にまた「ひび・あかぎれ」に悩まされることのないように、ふだんの生活で行うと良い「ひび・あかぎれ」対策をご紹介します。

●水を使うときの注意点

  • 手の洗い過ぎに注意する
    (ハンドソープの量は控え目に、なるべく敏感肌用を使用)
  • 手を洗ったらすぐに拭く
    (自然乾燥は、角質層の水分も一緒に蒸発してしまう)
  • 水仕事の際には手袋を着用する
  • 水仕事や入浴の後には、こまめに保湿剤を塗る

●冷えや乾燥を防ぐコツ

  • 就寝時には、保湿剤を塗った上に手袋や靴下を着用する
    (木綿素材が良い)
  • 暖房を入れる際には、同時に加湿も行う
  • マッサージや適度な運動で血行を良くする
いずれも日々の習慣として心がけることで、「ひび・あかぎれ」はもちろん、さまざまな皮膚トラブルを防止するのに役立ちます。冬だから仕方がないとあきらめずに、冬だからこそ健康で美しい肌を維持することを目標に、ふだんの生活で出来ることを実践しましょう。

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