教えて薬剤師さん

夏の乾燥肌にどう対応する? 掲載日:2009年8月25日

夏なのに肌が乾燥して困る…、そういう方が増えています。夏は、汗をかいたり皮脂の分泌が盛んになったりするのになぜでしょう。実は、エアコンの冷房や紫外線の影響、洗いすぎなどのために肌が乾燥しやすくなるのです。冬とは少し異なる夏の乾燥肌。今回はその原因と、乾燥によって起こる皮膚疾患、乾燥を防ぐスキンケアについてご紹介します。

日光(紫外線)皮膚炎はなぜ起こるの?
皮膚の構造と乾燥の仕組みまず、肌が乾燥する仕組みをご説明しましょう。皮膚の表面は角層によって覆われています。角層は0.02mmのほどの薄さでありながら、外部の刺激から皮膚を守り、また皮膚の内部の水分が逃げるのを防いでいます。また、皮脂腺から分泌される皮脂、汗腺から分泌される汗が、混ざり合って皮脂膜を形成し、角層の中のうるおいを保っています。角層と皮脂膜によって、皮膚は保護されているのです(「主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?」参照)。これを、皮膚のバリア機能といいます。

ところが、空気の乾燥、洗剤やお湯の刺激、摩擦(ナイロンタオルの使用など)などによって、皮脂膜が取れ、角層がダメージを受けると、バリア機能が低下し、うるおいが失われて乾燥してしまうのです。

水仕事や洗剤を使う機会が多い主婦(「主婦湿疹(手湿疹)はどう改善すべき?」参照)、皮脂腺が未発達な子供(「子供の肌トラブルなぜ多い?どう対処する?」参照)、角層の水分保持力と皮脂の分泌が低下する高齢者などは、肌が乾燥しやすいため、とくに注意が必要です。皮脂の分泌は、性ホルモンの影響を受けるため、女性では40代、男性では50代から皮脂の分泌量が減少します。
夏でも肌が乾燥するのはなぜ?
大気が乾燥し、冷たい風の吹く冬には、多くの人が肌の乾燥を経験していると思います。では、夏の肌の乾燥とはどのようなものでしょうか。

まず大きな原因としてあげられるのは、エアコンの使用による室内の空気の乾燥です。また、エアコンの吹き出し口から出る風に当たると、その刺激で皮膚の水分が失われていきます。扇風機の風も同様です。

次に、紫外線の影響です。紫外線を浴びたあと、皮膚では急激な細胞の増殖が始まります。皮膚は、表皮の一番下にある基底層で新しい細胞が作られ、それが有棘層、顆粒層、角層と順番に上に上がってきて、最後には垢(あか)となってはがれ落ちます。これを皮膚のターンオーバーといいます。

紫外線の刺激により、基底層での細胞の増殖スピードが通常より速くなると、細胞が不完全なまま作られてしまいます。すると、角層に上がってきたときに十分な機能を果たすことができません。つまり、水分保持力の弱い角層となってしまうのです。また紫外線(UVA)は、真皮まで届き、肌の弾力や張りを保つコラーゲン繊維やエラスチンも破壊してしまいます。

夏は紫外線が強くなるとともに、肌の露出が多くなるため、紫外線の影響をより強く受けるのです(「日光(紫外線)皮膚炎になったら、どうする?」参照)。

このほか、ナイロンタオルでこすったり、一日に何度も身体を洗ったりすると、過度に皮脂が洗い流され、角層を傷つけることになります。
乾燥によって起こる皮膚疾患とその対処法
皮膚がかさかさして、白くて細かいフケ状のもの(「落屑(らくせつ)」といいます)が付着することがありますね。いわゆる「粉が吹く」という状態ですが、これを皮脂欠乏症(乾皮症)といいます。

皮脂と汗による天然のクリームが失われ、角層が破壊された状態です。いかにも冬の肌という様子ですが、前述したエアコンや扇風機の当たりすぎ、紫外線の影響、皮膚の洗いすぎなどで、皮膚のうるおいが失われ、夏でも皮脂欠乏症になることがめずらしくありません。皮脂欠乏症になると、角層が壊れてしまうため外部の刺激を受けやすくなります。

皮脂欠乏症の治療は、保湿です。ワセリン、油分、グリセリンなどが含まれた保湿剤を使用してうるおいを補います。フケ状の落屑を抑えるには、サリチル酸や乳酸、尿素が含まれるものを使用します。

皮脂欠乏症も、他の皮膚疾患と同じように、早期に治療を始めることで悪化を防ぎ、早く治すことができるのです。

皮脂欠乏症が悪化すると、炎症を伴う皮脂欠乏性湿疹になってしまうこともあります。皮脂欠乏性湿疹は高齢者に多くみられる皮膚疾患で、治療には抗炎症作用のあるステロイド外用剤が用いられます。

夏に皮脂欠乏性湿疹にまで至ることはほとんどありませんが、肌が乾燥していると感じたら早めの対処を心がけることで、うるおいのある美しい肌を保つことができます。
乾燥を防ぐスキンケア
皮脂と角層を守ることが大切ですので、次のことに気をつけましょう。

(1) 入浴時にナイロンタオルでこすりすぎない(摩擦で角層が痛む)
(2) 過度に石けんを使用しない。また、使用後はきちんと洗い流す
(3) 入浴はぬるめのお湯で(お湯が熱いと肌がかゆくなる)
(4) 室内の空気を乾燥させすぎない、
エアコンや扇風機の風に当たりすぎない
(5) 紫外線対策をきちんと行う
(「日光(紫外線)皮膚炎になったら、どうする?」参照)

肌が乾燥しやすい人は、夏の間も保湿剤を使用することをおすすめします。
乾燥がそれほどひどくなければ、ベタつきの少ない保湿剤を、気になるところにだけ部分的に使うなどするとよいでしょう。

夏だからこその理由で、肌が乾燥してしまうことがあります。肌を見せる服装が多いこの季節。ご自分が過ごす環境や生活習慣、スキンケアにほんの少し気を配り、健康で美しい肌を保ちましょう。

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